"中国黄金集団がカナダの世界最大金鉱企業バリックのアフリカ子会社を買収へ。一社だけで1400トン(推定)の金保有、異常なゴールド企業は何をしているのか。世界の金脈地図が激変している。2012年8月17..."

"中国黄金集団がカナダの世界最大金鉱企業バリックのアフリカ子会社を買収へ。一社だけで1400トン(推定)の金保有、異常なゴールド企業は何をしているのか。

世界の金脈地図が激変している。2012年8月17..."
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中国黄金集団がカナダの世界最大金鉱企業バリックのアフリカ子会社を買収へ。一社だけで1400トン(推定)の金保有、異常なゴールド企業は何をしているのか。


世界の金脈地図が激変している。2012年8月17日、市場をビッグニュースが駆けめぐったが、日本の読者はたぶん知らないか、関心がない。

中国黄金集団がカナダの世界最大金鉱企業バリック社のアフリカ金山「バリック・アフリカ」の買収に向けて交渉を開始したという報道である。


欧米の市場関係者は大騒ぎをしているが、やっぱり日本は情報の蚊帳の外。

同日の日本のメディアは尖閣に不法上陸した香港の活動家らの強制送還をおおきく報じていた。日本経済新聞が、8月17日夕刊で小さな記事(おそらくロイターの記事を援用したもの)。

いったい何が問題なのか?

中国最大のゴールド企業は北京に本社をおく、「中国黄金集団」である。これは国有企業で、従業員2万7000人余。上海株式市場にも上場している。上海万博跡地にもビルを建設中である。

国内に保有する金山は65,2011年に78トンを生産し、また21億元を投じて甘粛省陽山金鉱の採掘権を獲得した。中国国内の金生産の20%は、この中国黄金集団で寡占する。

この会社、中国国内で金を生産しているばかりか銀、胴などの生産、精錬、流通、販売。そして金塊に刻印して販売している。中国最大の金社である。

ちなみに中国国内の金山は山東省招遠市、蓬莱市、莱洲市ほか、福建省の上杭県、貴州省、陝西省、内蒙古自治区のウラド(鳥拉特)などが有名。



中国の金消費は2011年だけでも761トン、このうち個人による金の延べ棒買いは213トンにも及んだ。わずか一年の金消費が、日本の国家が保有する金備蓄に匹敵するのだ。

中国黄金集団は一社で保有している金が1600トン強、2016年までに、これを1800トンに増やすと豪語している。

ちなみに日本が保有している金は僅か740トン前後。つまり日本の国家が保有するすべての金保有量の二倍を、中国のたった一社が保有しているのである。それが問題なのだ。

中国が全株もしくは多数を買収しようとしているのはカナダのバリック・ゴールドのアフリカにおける子会社『バリック・アフリカ』で、タンザニアに三個所の金山を開発している。バリックはアフリカ子会社の74%の株式を所有している。

カナダ本社は収益の悪化で、経営トップが更迭されたばかり、買収交渉の仲介はUBS(ユニオンバンク・オブ・スイスランド)があたっている。

英紙『フィナンシャル・タイムズ』は、「中国の紫金鉱業集団」もバリックのアフリカ金山の株式取得に関心がある、と伝えている(8月16日付け)

▼中国が世界一の金鉱企業を目指すのも当然だろう

さてバリック・ゴールドは、なぜ世界一となったか。金の産出と言えば南アと相場が決まっていた。が、それもアパルトヘイト時代の白人政権が経済運営をしていた時代まで。

南アの「アングロ・ゴールド・アシャンテイ」社はダイアモンドのデビアスと並ぶ独占寡占企業と言われ、米国の「ニューモント・マイニング」社とトップを競っていた。

カナダのバリックは、この二大強豪の隙間を縫って世界中で金鉱会社を買収した。とくにペルー、アルゼンチン、豪、パプアニューギイア、ギニア、チリなどの鉱山を取得し、この積極的なM&A戦略が功を奏し、世界一となった。

中国がGDPで日本をぬいて世界第二位の経済大国となった。中国は産金ならびに金消費で世界一となった。こうなれば、中国が世界一の金企業の座を狙うのは当然である。

この中国黄金集団を率いるのは孫兆学社長。言行録がある。「中国では金生産量を上回るゴールドの鉱脈が発見されており、金が枯渇するなどという話には根拠がない」。

この孫発言は2012年3月に発表された『ワールド・ゴールド・カウンセル』報告書が「六年以内に中国国内の金鉱脈は(取りすぎのため)枯渇する」とした予測への反論の形をとった。


- 世界の金脈地図が激変している  宮崎正弘 | 杜父魚文庫ブログ: 2012.08.19 Sunday (via nandato)

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