中国政府による銀行株買い増しの意味


◎中央匯金有限公司
(中国国有金融企業に株券の売買を行うことによって安定させる国有会社)は、10 月 10 日、11 日に四大銀行に買い支えをした。11 日終値:中国銀行(3988)が 2.65 香港ドル、工商銀行(1398)が 4.31 香港ドル、建設銀行(0939)が 5.11 香港ドル、農業銀行(1288)が 2.99 香港ドル。


【UWタイムズ】より引用


<中国政府による銀行株買い増しの意味するところは>

政府系メディアの新華社は、中国政府系ファンドの「中央匯金投資」が工商銀行(1398)、建設銀行(939)、農業銀行(1288)、中国銀行(3988)の四大国有銀行株の買い支えに乗り出したと発表しました。取得目的は株式市場を安定化させるためで、市況に応じて今後12ヶ月買い支えを継続すると述べました。本件を受けて、先週に急落していた中国本土系の銀行株が今週前半に軒並み大幅高となりました。

 今までも市場対策としての国有企業株の買い支えは何度もありましたが、株価を浮揚させる効果はまちまちでした。中央匯金投資は、リーマンショック以来、今回を含めて銀行株を3回も買い支えました。08年9月の最初の買い支え直後は、工商銀、建設銀、中国銀の株価は前日比で軒並み+15%以上も上昇しました(農業銀は08年9月未上場)。一方で、09年10月に買い支えた時は3行とも小幅安にとどまり、政策当局が期待した効果は見られませんでした。結果として、08年9月の買い支え時は一時的に効果がありましたが、中国本土や香港市場が大底入れしたのは08年10月末になってからでした。つまり、買い支えから大底入れまで1ヶ月以上もかかりました。そのため、買い支えが行われたからといって香港市場が底入れしたと判断するのは時期尚早でしょう。

 しかし、今回の動きは経済政策の舵取りに変化があったとみて間違いありません。なぜなら今回の買い増しは取得理由を明確に発表したからです。政策当局が今の株式市場は売られすぎと判断しなければ、このように明確な動きはしないと思われます。つまり、中小企業を苦しめている金融引き締めの見直し時期にいよいよ入ったのではないかと推測し、海外情勢が一段と悪化した場合、追加経済刺激策の用意があると見られます。過去の例を見ても、08年10月末の底入れ要因は、中国政府が利下げや「4兆元投資」などのてこ入れ策を相次ぎ発表したからです。政策動向は、依然として中国市場に決定的な力を持っていると考えられます。


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